著作(創作)について†
- ページ: BugTrack2
- 投稿者: henoheno
- 優先順位: 普通
- 状態: 着手
- カテゴリー: そのほか
- 投稿日: 2010-08-25 (水) 00:05:50
- バージョン:
はじめに (お断り)†
以下の話題や事例は、PukiWiki Developers Team 側の一方的な主張ないし行動、あるいはこれまでの先方とのやりとりの経過にすぎませんが、互いの著作、およびプロジェクトの未来を不用意に失わないための形式を、ある程度広く示す目的で掲載するものです。
著作、著作権、著作者などに関する話題は、最終的に各国の法律などによって個別に判断されます。
メッセージ: 著作されたモノの節度のない取扱いは、そのようにして作られたモノの寿命をほぼゼロにする†
多くの場合において、「流用やコピー」は、あなたが未来をもたらすための手段にはなりません。
著作という行為を軽視し続けている場合、あなたの著作や、あなたの属する組織や、あなたのユーザーの未来を結果的に失わせる程度の影響が生じます。
たとえ「あなたらしさ」が どれだけ入っているとしても、理由になりません。
原因: 想定を無視した取り扱い†
誰かによって「著されたもの」(創作されたもの)の多くは、「あなたや、あなた方の著作(創作物)の中に気ままに流用(やコピー)されること」を想定していません。
例:
- アイデンティティ
- 特定のものの独自性を支えるために用意された著作は、流用(やコピー)される事を全く想定していません。
- ライセンスが不明である著作物
- 何が想定されていないかが明確でないので、通常は何もできません。
- ライセンスつきの著作物
- 特定のライセンスが1つ与えられた著作物は、そこに規定された内容のみを想定しています。ライセンスの期限についても同様です。
- 著作者(場合によって一人ではない)は、法が著作権を認める範囲において、今後の著作物に割り当てるライセンスを決めたり、とある著作物の今後のライセンスを変える権限を持っています。
- ライセンスの条件が異なる場合、「二つの著作物を一つにする」行為は想定されていません。
- 著作権などの各種権利が切れたとされる著作物
- あなたや、あなた方の著作やその一部として流用する行為は(著作者により明示されていない限り)想定されていません。
コピーや流用を想定していない著作は、そもそもそのように取り扱うべきではありません。
対応: 長期的にどのようにふるまうべきか†
- 自分のものでない著作について、ライセンスか、なければ著作者の想定を確認して下さい。
- 例: 成立の経緯を確認する
- 例: 問い合わせる
- 例: 不明確なものは避ける
- 著作されたモノの想定すること、および/あるいは著作したモノの想定する事を把握し、守る事に勤めて下さい。
- それぞれが何のために存在するのか、またどのような事態を想定しているのかを考慮し、想定外の事が起こらないように取扱って下さい。
- 著作されたモノ複数を同時に扱う場合、別々に扱うべきものであれば、別々に取り扱って下さい。
- あなたの著作については、あなたが責任を持って下さい。
- 例: 流用したそれらが「あなたの」仕事の品質を裏付けたり、後押しするものであるかのような表現を避ける
- あなたの著作は、発表する前までにライセンスを選択し、最初に発表するその時からライセンスを明示して下さい。
- あなたがそれを届けたい世界の広さに応じて、そこにいる人たちに本当に通用するライセンスを選択して下さい。
- ライセンスやそのバージョン等に関して、絶対に勘違いされない書き方をして下さい。
- 間違いがあれば、事後でも訂正する努力を行って下さい。
- あなたの発表する著作に他人の著作が混ざっていたり、他人の著作の一部をあなたが修正したものを発表する場合:
- 可能であれば事前に、どのような修正を行うのか、その目的は何で、どこに影響や副作用が出るのか、修正する場所は本当にそこであるべきなのか、といった点を模索して下さい。
- 対象が電子データである場合、まず全く手の入っていない新しいバージョンを用意して下さい。
- 自分の修正部分について、必要最小限の修正で効果を発揮するように努めて下さい。
- 必要でない影響(例えばタブ記号の破壊、スタイルの不要な修正、個人のその時の感情の書き付けがあれば取り除いて下さい。
- 複数の要素や、複数の問題解決手段が混ざっている場合、修正の提案を一つづつ用意する事が有効であれば、そのようにして下さい。
- 整理がつかなくなった時は、新しいバージョンを用意し直す所からやり直して下さい。
- 著作物を管理している相手に渡す際には、あなたの著作がどこであるかを明示するか、それがどこか明らかに判別できる手法を使って下さい。
- 問題を根本の部分から解決するための行動を継続して下さい。
対応: 短期的にどのようにふるまうべきか†
- 取り扱っている著作ごとに、分割および撤去/回収を適切に行うべきです。
- 著作の取り扱いが混沌としている場合、十分に広い範囲を対象にする事を検討すべきです(周囲はそのように解釈するでしょう)
- 著作の取り扱いに違反があった状況を適切に告知すべきです。
- 証拠を隠滅する様な行動があってはいけません。 (蓋が開いたそのとき、短期的にも長期的にも不利になります)
- 結果的に「長期的なふるまい」を身につけるべきです。
PukiWikiの取扱い事例 (初期~) : 複数のGPLライセンス†
PukiWiki のライセンスの大部分は、"GPL v2 or (at your option) any later version" となっています。ただし、一部に "GPL2"、 一部に "GPL"(任意のバージョンと解釈される)となっているものが含まれています。
現時点では、全体として "GPL v2" として統一的に解釈できるため極端な齟齬がありませんが、著作物の想定、および方向性が統一されていない現状は適切であると言えず、将来性があるとも言えません。
PukiWikiの事例 (2003-2005): "TrackBack"の実装に関する流用の疑い†
訂正とお詫び: 当初「Six Apart 社が厚意で公開しているリファレンスデザインを」という表現になっておりましたが、これは明確に誤りです。訂正してお詫びします。BugTrack2/62 にある通り、TrackBackのリファレンスデザインがPukiWikiにマージされた痕跡は見つかっていません。発端になったものは Six Apart社のWebサイトに由来するCSSです。「デザインとアイデンティティの問題 (2007)」 もあわせてご覧下さい。 |
PukiWiki 1.4 (2003年) に取り込まれたTrackBack の実装が、Six Apart 社が公開していたWebサイトのデザイン(少なくともCSS)を、ライセンスの確認のなく、そのまま流用(コピー)しているのではないかという懸念が 2005年に浮上しました。
これをGPL v2 ライセンスで公開している製品に取り込んで(マージして)良いかどうか、事前にその調査をした証拠が見つかりませんでした。事後の調査でも確認できませんでした。
最終的にその部分を根元から削り、該当部分を含んでいる製品パッケージの公開を全て停止し、該当部分が含まれない製品をリリースし直し、以上の準備が整ってから全ユーザーを対象に告知と改修を呼びかけました。
その後、流用の疑いを消せない部分がもう一箇所見つかり、もう一度改めて上記の対応を行いました。
PukiWiki の判断事例 (2006): Webサイトのデザインと製品デザインの混同†
「PukiWikiについて触れている書籍に、(製品としてのPukiWikiを意味するものとして) PukiWiki公式サイト のロゴマークを用いたい」という申し出を受けました。
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| 上: Webサイトのアイデンティティのために用意されたデザイン(部分) 左: 配布している製品のためのデザイン(部分) |
該当デザイン(official, dev の二種)は経緯的にWebサイトのためのアイデンティティとして成立したものです。また、製品のアイデンティティとしてのデザインは別途存在しています。
手法次第のところもありますが、気ままなアイデンティティの混同は、著作物の不適切な取り扱いと同様に、一般的に製品の寿命に(たとえ短期的に良く見えたとしても)良い影響を与えません。
現時点のこの状況をご説明し、了解をいただきました。
商用Wikiサイトの事例: 構築方法に関して†
GPLとして配布しているものに含まれるものについては、流用は問題ありません。以下の様な流用は問題ありません。
- (2005年) 特定の商用Wikiサイトが、PukiWikiの配布パッケージに含めているヘルプメッセージをそのWikiサイトのヘルプメッセージとして使用している事が解りました。
- (2007年) 別件にて、同サイトのCSSの構造がPukiWikiと一致しているという事が解りました。
- ※HTMLの出力や構造について、PukiWikiのプログラム部分を流用しているかのような要素は見うけられませんでした。
- 商用Webサイトのサービスとして、PukiWikiを簡単に展開するサービスを構築するのは問題ありません。
商用Wikiサイトの事例: デザインとアイデンティティの問題 (2007)†
「pukiwikiのデザイン流用について」という件名で、「PukiWiki (official サイト)のCSSをベースにデザインを行ったが、NGかどうか。1から作成すれば良いのか」という主旨の問い合わせがありました。
流用の元が製品パッケージではなくofficialサイトのデザインであったため、「officialサイトの模倣」を成立させていたもの全てを破棄するよう求めました。
左:当時の商用Wikiサイトのデザイン(の一つ)
右:PukiWiki officialサイトのデザイン
- GPLで配布されているモノ(配布物のデザインを含む)そのものの流用であれば、このような問題は起こりません。GPLで公開されている PukiWiki配布パッケージのデザイン や、tDiary theme などが該当します。あなたがそれを受け取った時、あなたはそれを(ソースコードを含めて)自由に利用できます。あなたから受け取った人も同様にできなければいけません。
- ※特徴のあるロゴマーク、商号、商標、製品名、そのほか固有の表現などについては、誤認や別の問題をはらんでいるため、流用を避けるべきです。
- PukiWiki公式サイトのデザインは、公式サイトのアイデンティティのために、製品パッケージとは独立して創作されたものです。 *1
- 特定のWebサイトのデザインの模倣のように見えるデザインですが、実際は量の大小にかかわらず『手段として「他者の創作物のコピー」が用いられ』ており、模倣の範囲を超えているものです。
最終的に、デザイン(見た目の部分)が作成され直されるとともに、元のデザインに関連する部分が撤去されました。
参考文献†
著作 / 創作†
ライセンス†
リライセンシング†
- comp.os.minix: MINIX license change http:/ groups.google.com/group/comp.os.minix/msg/d12a0dde04b7f232
コメント†